高齢者を活動的にするまちづくりとは
2010-04-13 18:31
東京大学医学系研究科公共健康医学専攻健康増進科学分野
李廷秀 准教授

李廷秀 准教授
高齢化が世界一進んでいる日本において、これからの社会の活力を維持していくためには、高齢者の方々が健康で元気に暮らせるまちをつくっていくことが求められる。民間活力開発機構では平成22年度事業の柱として、「活力ある高齢化社会をつくる」まちづくりに取り組んでいる。
高齢者が健康で元気に暮らせるまちにするためには、何が必要だろうか。東京大学医学系研究科公共健康医学専攻健康増進科学分野の李廷秀准教授にお話を伺った。李准教授は高齢者が健康に暮らせるまちに何が必要なのかを実証的に研究している。
高齢者が自立した日常生活を営むためには、まず下肢が丈夫でなければならない。下肢を使って自分で移動することができなくなると、高齢者の身体的、精神的、そして社会的健康状態は急激に衰えてしまう。
「高齢者が活動的に生活し、外出しやすいまちに必要なことは、居住宅と日常生活に必要な様々な施設が「近接」していて、これらの施設が歩いていける範囲内にあり、「混在」していることです。日常生活に必要な様々な施設とは、銀行や郵便局、スーパーマーケットなどのことで、高齢者にとっていちばん大切なことは、住宅街、商店街が共存し、多世代の人々が混じり合って生活し、自分の足で歩き、外出することです」と李准教授は話す。
「近年、地方都市の駅前商店街などはシャッター通り化しています。郊外にできる大型ショッピングモールなどの影響も大きいものです。市内の商店街が閉鎖されたことで、人々は郊外に生活用品を求めて出向くことになり、移動手段として車に頼らざるを得なくなっています。そのために、車の運転のできない高齢者は食料などの日常生活用品の調達さえ困難になっているのです」と李准教授は続ける。
「高齢者を活動的にするためには、高齢者自身が自分の足で歩き、物理的に外出しやすいまちを作ることが大切です。外出しやすいまちとは、歩ける範囲に生活に必要ないろいろな施設があり、高齢者が孤立しないで済むように、様々な世代の人々が混じり合って生活していることです。さらには、高齢者になる前から日常生活の中でしっかり歩けるようにしておくことが最も大事なことです。そのためには、高齢者のみならず若年世代の人々にも外出しやすく、歩くまたは自転車を利用しやすいまちづくりを早急に考えていく必要があります。」
高齢化の急激な進行で、日本のコミュニティの在り方の見直しが迫られる中で、李准教授は高齢者が住みやすいまちの研究を精力的に進めている。
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