NF膜の消費エネルギーを削減 Reducing energy consumption of the NF membrane

2010-03-04 18:45

日東電工株式会社
Nitto Denko Corporation
http://www.nitto.com/global/

日東電工 高梨氏 日東電工 大河氏
(左から)
高梨考一 / 日東電工株式会社 メンブレン事業部 企画統括部 渉外・管理グループ長
大河正路 / 日東電工株式会社 メンブレン事業部 企画統括部 渉外・管理グループ係長

Summary

Nitto Denko Corporation, which is strong in polymer separation membrane technology, is developing an energy-saving nanofiltration membrane. The reason for choosing nanofiltration instead of a reverse osmosis membrane is that reverse osmosis membrane removes even minerals that are important for good-tasting water. Additionally, Nitto Denko Corporation believes that nanofiltration can successfully purify low-salinity water like river water.

The company is setting a goal to eventually operate nanofiltration using half the energy of the traditional model. The aim is to think in unconventional ways, and develop totally different ideas by incorporating basic research studies in universities.

特定物質をNF膜で除去

日東電工の高分子分離膜技術は、内外で多くの実績をもち、半導体超純水から海水淡水化、排水の処理・再利用まで、その用途にあわせ多様な分離膜が利用されている。

水の分離膜には、一般的に孔径の大きい順から、精密ろ過(MF)膜、限外ろ過(UF)膜、逆浸透(RO)膜があるが、もう一つRO膜より少し孔径が大きく、UF膜より少しきめの細かいナノフィルトレーション(NF)膜というものがある。今回の研究は、このNF膜の領域でさらに省エネルギーの進んだ、効率の良い膜を開発するのが目的だという。

今回、一番精度の高いRO膜ではなくNF膜を研究対象にしたのは、どうしてなのか。「例えば飲料水を作る場合、海水淡水化を行うと多くの塩分を除去するためにRO膜が必要です。しかしRO膜を使うと、おいしい水のもととなるミネラル分まですべて取り除いてしまいます。その点、河川のような低い塩分濃度の水から取水するような場合は、農薬やトリハロメタンなど特定有害物質を選択的に除去すれば済むので、NF膜で対応できないかと考えたわけです」と日東電工メンブレン事業部企画統括部渉外・管理グループ長の高梨考一氏。

さらに、RO膜はろ過精度が高い分より多くのエネルギーを消費するが、同じ水を得るためにNF膜が消費するエネルギーは、かなり少なくてすむということも重要なポイント。

分離膜の位置づけ

分離膜の位置づけ表
分離膜の位置づけ表(PDF版)

新たな発想でエネルギー消費削減を目指す

もう一つの背景は、日本の浄水場が建直しの時期にきていることだ。多くの浄水場が築40~50年を迎え、老朽化と耐震の問題を抱えている。こうしたタイミングに合わせて膜分離技術を導入することが望まれる。 

「日本の水道にはまだ多くの場所で使われていませんが、海外では膜分離技術を導入した実績があります。今後、日本でも水質の悪化が予想される中で、浄水場において農薬や環境ホルモンなどの特定有害物質を効率よく除去できる膜が必要になってくると思います」(高梨氏)。

最終的には、従来のレベルより半分くらいのエネルギーでNF膜を運転できるようにするのが目標だ。かなりハードルは高いが、そのためには二つのアプローチがあるという。

一つは、今までの技術の延長線上で考えること。つまり、低圧稼働で従来の半分以下の動力で動く膜を開発するというもの。もう一つは、大学で行われている基礎研究などを取り入れ、まったく違う発想で行う方法だ。

「今回の研究では、広島大学、豊橋技術科学大学、北海道大学の3校で、基礎研究に携わっている先生方の知恵を拝借しながら、技術開発に協力をいただいています」(高梨氏)。

UF膜では通り抜ける、RO膜では取りすぎる、特定物質を効率よく取り除く、用途に適したNF膜の開発が期待される。

香川県仲多度郡多度津町の平渕浄水場にあるNF膜を使った処理施設
香川県仲多度郡多度津町の平渕浄水場にあるNF膜を使った処理施設

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