丈夫なRO膜を作る Developing a strong RO membrane

2010-03-04 17:34

東レ株式会社
Toray Industries, Inc.
http://www.toray.co.jp/

長瀬氏と辺見氏

(左から)
長瀬公一 / 東レ株式会社 研究・開発企画部 担当部長
辺見昌弘 / 東レ株式会社 地球環境研究所 所長

Summary

Toray Industries, Inc. is developing energy-saving, highly durable and productive RO membranes. Chlorine is dispensable in pretreatment process to prevent contamination of membranes by microbes. However, existing RO membranes have poor resistance against chlorine.

A molecular design and nanotechnology are required for the development of the membranes. Material researchers and membrane researchers of the University of Tokyo and Kobe University have joined the study conducted by Toray Industries, Inc. This academic-industrial research aims to obtain innovative energy-saving RO membranes. Development of an A4 (paper) size membrane is scheduled in 2011. Then, a demonstration experiment will be held after preparing a membrane 50cm in width.

水循環システムのエネルギー半減が目標

世界では今、水不足や水資源の悪化が大きな問題になっている。実際、分離膜で浄化した水を生活用水として使っている人は2~3億人もいるという。特に、中東や地中海沿岸、アフリカなどの国では、海水を淡水化して飲料水や生活用水に使わざるを得ない状況が多くみられる。そうした地域で海水淡水化に使われている代表的な膜が逆浸透膜(RO膜)だ。また、生活排水や産業廃水を浄化して生活用水や工業用水に使用する再生水の製造にもRO膜が使われている。

「RO膜の約6割を日本が占めていて、海水淡水化では日本の膜が7割くらい使われています。しかし近年、海外では膜の基礎研究がすごく増えています。早く次の手を打っておかないと、日本のシェアも泡と消える可能性があります」と東レ地球環境研究所の辺見昌弘所長は強調する。

そのため、今回の要素技術研究では、RO膜による水循環システムのトータルエネルギーを半減することが目標になっている。

東レ RO膜エレメント

透水性と耐久性の向上で欠点の克服を目指す

かつて海水から真水を作るには、海水を蒸発させる蒸留方式しかなかった。しかし、RO膜を使うことで、その5分の1のエネルギーで真水を得られるようになった。ただ、RO膜のナノオーダーの小さな穴に水を通すためには、高い圧力が必要になる。そのために相当エネルギーが使われている。

このエネルギーを削減するには、圧力を下げた運転で、しかも処理した水の量が増えるシステムが求められる。そのためには、より高性能なRO膜、透水性の向上と耐久性の向上が求められる。つまり、今のRO膜の欠点を克服した新しい素材の開発が必要だ。

「どこかにある素材を探してくるわけではありません。まず、耐久性のある素材、物理的、化学的な強さを併せもったもので、高度な有機化学に基づいた分子設計とナノテクノロジーを駆使した膜形成によって作ります」(辺見氏)。

今のRO膜の欠点は耐薬品性が弱いこと。薬品といっても水道水などに使われているカルキ(塩素)のことで、微生物による膜の汚れを防ぐためには欠かせない。耐薬品性の優れたRO膜によりカルキを使えるようになると、前処理が簡便になりコスト削減、省エネにつながるという。

「耐久性の強い素材開発への挑戦は、ここ何十年もの間、達成されていません。今回のチームには、東京大学と神戸大学の素材と膜の研究者が参加しています。産学共同の研究体制で、その壁を打破したいですね」(辺見氏)。

2011年度中にA4サイズの膜を、その後50cm幅の浸透膜を作り実証試験を行う予定だ。水システムの日本のコア技術として、「革新的」RO膜の開発が期待される。

従来型RO膜と革新的RO膜の比較

従来型RO膜と革新的RO膜の比較図

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