コストの問題を乗り越え、燃料電池実用化の道を開く

2010-01-08 19:38

燃料電池のコストを大幅に削減する製造技術が開発された。最大の壁となっているコストの問題を乗り越え、実用化が加速するか。

有限会社パラマウントエナジー研究所
Paramount Energy Lab.
http://www.pelab.co.jp/

Overcoming the problem of cost to develop practical fuel cells.

スクリーン印刷技術で製造されたセパレータ
スクリーン印刷技術で製造されたセパレータ

Summary
Paramount Energy Lab. has developed a separator manufacturing technology which could achieve a major cost reduction for fuel cells in cooperation with the Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Centre. Separators are an important component for fuel cells as they are installed between fuel cells to create grooves through which hydrogen and oxygen travel.

At present, carbon or stainless steels are the main materials for separators. Carbon steel, however, is quite expensive and is liable to damage during processing.

The newly developed technology boasts a low processing cost as the separators are manufactured by a screen printer commonly used by printing companies. They are less likely to be damaged as the process simply involves repeated coating. This technology has the potential to hugely reduce the cost which is the biggest problem for the practical application of fuel cells.

Paramount Energy Lab. is now planning to set up a separate company to manufacture and market the new separator to research institutes and enterprises engaged in the R & D of fuel cells for practical application.

セパレータのコストを10分の1に大幅削減

パラマウントエナジー研究所は地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターと共同で、燃料電池の大幅なコストダウンにつながるセパレータの製造技術を開発した。燃料電池は水素と酸素を化学反応させて電気を作る発電装置だが、セパレータはセルの間にはさんで水素や酸素が流通する溝を形成する重要部品。

共同開発した製造技術は、スクリーン印刷技術を利用して、セパレータを製造するもの。ベースとなるカーボンプレートに、スクリーン印刷機によって新たに開発した導電性インクを塗り重ねて、リブと呼ばれる土手を作って溝を形成する。

現在、セパレータ材料はカーボン系とステンレスなどの金属系が主流。カーボン系は一般に、厚さ3、4㎜のカーボンプレートにエンドミルで溝を掘って加工するが、薄いカーボンに加工するため、コストが高く、加工中に破損しやすいなどの課題があった。

新たな製造技術は、印刷会社が通常使っているスクリーン印刷機によって、精密なパターン印刷で製造するため、加工コストが安く、塗り重ねる加工で破損もしにくい。現在は、1回の印刷で0.2㎜の厚さに特殊インクを塗り、4回繰り返して0.8㎜の溝を形成する。今後、1回の印刷で厚さ1mmの溝を作る技術を研究開発し、さらに加工効率を高める計画。

これによって、燃料電池で最大の課題であるコストが削減され、実用化の道が大きく開かれる可能性がある。パラマウントエナジー研究所社長の武藤保氏は「固体高分子形燃料電池を開発・生産するカナダのBallard社によると、燃料電池の4割を占めるセパレータのコストを、10分の1に削減できる」と語る。今後、製造会社を立ち上げ、燃料電池の実用化研究を行っている研究機関や企業などに販売する計画。

新技術の模式図
Schematic Drawing of New Technology

新技術の模式図

三菱鉛筆、日本ペイントと協力し、製造会社を設立

製造会社はパラマウントエナジー研究所が中心となって設立する計画で、カーボンプレートを供給する三菱鉛筆や、セパレータ用の印刷インクの研究開発で日本ペイントなどが協力する予定。さらに、東京都内の印刷業者が製造に協力する体制を作る。印刷業者にとってすでに所有しているスクリーン印刷機を使用するため、初期投資がかからないというメリットがある。東京都立産業技術研究センター経営企画室主任研究員の上野博志氏は「経済不況で厳しい印刷業界にとっても、新たな分野での販路拡大となり、産業振興につながる」と期待する。

「燃料電池自動車1台に必要なセパレータは約1,000枚だが、試作品などで約1万枚を使う。生産量が増えれば、量産効果でさらにコストダウンにつながる」(武藤氏)という。

今後は耐久性試験が課題。「燃料電池自動車で使うには、5年は耐えられないといけないが、資金難のためまだ未確認」(武藤氏)。

燃料電池は主に、自動車用と家庭電源用の実用化に向けた研究開発が進められている。コストダウンを目指す上で、セパレータの技術開発は重要なカギとなる。開発した製造技術によって、燃料電池のコストが削減され、実用化が加速すると期待される。

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