「水」による糖尿病・腎不全対策への取り組み

2008-12-17 14:42

医療用電解還元水整水器 HD-24D
医療用電解還元水整水器 HD-24D

近い将来、水の量的問題と平行して 「質」が問われる時代が来るといわれている。 現在、浄水器・整水器市場で 売上シェアNo.1 (矢野経済研究所調べ)の日本トリム。 「水」の機能にいち早く着目し、日本発の機能水技術による イノベーションに挑んでいる。機能水の一つである「電解還元水」は、水を電気分解したときに 陰極側にできるアルカリ性で水素を豊富に含む水。「電解還元水」を生成する日本トリムの医療用の整水器(図1)と その利用構成(図2)は、同社が誇る機器とシステム。家庭用の整水器は、飲用の水処理機としては唯一、厚生労働省所管の薬事法下で 「胃腸症状の改善」に効能・効果の認証を受けた管理医療機器である。日本トリムはその効能・効果にとどまらず、さらに「水の機能」を追究し、 付加価値水による新たな事業創出、イノベーションに取り組んでいる。

「電解還元水」の技術開発と事業化

1)飲用として

電解還元水の抗酸化性
水は、あらゆる生物が命を育む上で不可欠なものである。しかし、水が酸化されると、命を育む水が命を削るものに変化してしまう。日本トリムでは、九州大学大学院との共同研究で、独自の技術により水に機能、すなわち、活性酸素を抑制する「抗酸化力」をもたせることに成功した。現在、この抗酸化性を核として、医療、農・工業など、様々な分野への応用を目指している。

飲用による効果
血液透析を必要とする末期腎不全患者の中で、実に40%以上が糖尿病を基礎疾患としていることが最近の調査でわかった。糖尿病患者では酸化ストレスが亢進しており、このためにブドウ糖の酸化分解物メチルグリオキサール(*1)などの体内濃度が高くなっている。これらの毒性物質は腎臓を含む全身の血管を傷める原因となると考えられている。同社の電解還元水は、(1)血管内細胞保護作用をもつこと、(2)電解還元水の飲用による腎臓障害が抑制されること、などが実験で実証されている。

*1: メチルグリオキサール(MG)
MGは、糖分解代謝の過程において体内で生成される。東北大学との共同研究では、(1)活性酸素の一つである過酸化水素と共謀して新たなラジカルを発生させ、細胞傷害を引き起こすこと、(2)電解還元水がその細胞傷害を抑制すること、などが確認されている。

2)医療用として

医療への応用
日本トリムが注力しているのが電解還元水の「医療・予防医療分野への応用」である。臨床研究段階の中でも、「血液透析(*2)への応用」はもっとも進んでいる。日本の血液透析技術は、世界でも最先端にあるが、現在、新しい革新的技術の入る余地がなく、技術的には飽和状態にあるといわれている。同社は、これまで着目されていなかった溶媒(溶質を溶かしている液)である「水」そのものに抗酸化性をもたせることによって、新たな透析技術向上への研究の道を開いた。早期実現化により、患者の負担軽減や合併症の抑制、さらに、これらによる医療費削減への貢献を目指している。

*2 血液透析
糖尿病、腎炎、高血圧などで腎臓機能が不全となり、体内の老廃物や毒素を尿として体外へ排出できない状態になったときに行われる治療。透析を行わなければ老廃物や毒素が身体に溜まり、全身的に機能が低下して、やがて死に至る。個人差はあるが、(1)血液透析を受けると強い痒みを感じる、(2)血圧が不安定になる、(3)極度の倦怠感を感じる、(4)しばらくは活発に活動できずに動けない、などの副作用が発生する。その原因の一つが「酸化ストレス」とされている。

透析患者の合併症リスクおよび負担の軽減
台湾大学医学院との共同研究では、(1)透析時における酸化ストレスを軽減すること、さらに、(2)血液透析時に発生する白血球および赤血球などの破壊による機能不全の軽減、それによる免疫低下の改善、などが確認された。東北大学大学院医学系研究科との共同研究では、透析患者における身体的負担の軽減や社会復帰への促進に大きな期待がかかる。電解還元水を用いた血液透析は、従来の透析法に新たな治療法を加える可能性を秘めている。

同社の森澤社長は「現在、国内の複数施設との共同研究において、更なるデータ集積中であり、新たに共同研究に参加する研究機関を募っています。また、本格的な事業展開に向けたアライアンス等も検討しており、来年秋頃の透析医療用の電解還元水整水器の発売を目指し、精力的に展開していきます。」と意欲を語る。

3)健康管理・増進(予防医療)用として

電解還元水による予防医療
現在、メタボリック症候群に対して、国策として啓発活動が進められている。このことは、動脈硬化予防による慢性腎臓病の抑制対策と関連する。同社と共同研究している東北大学医学系研究科の中山昌明准教授は「腎疾患や糖尿病は生活習慣病と密接な関係にあり、その予防には日々の生活での健康増進がとても重要です。日本トリムの電解還元水がその役割を果たしてくれる可能性があるのではないかと期待をもっています」とコメントしている。

日本トリムでは、昨年、メタボリック症候群の予防対策として、電解還元水飲用による中性脂肪値と血糖値の改善効果を示すパイロットデータを得た。毎日必ず摂る水により、健康管理・維持、疾病予防ができれば、その社会的意義(医療費削減、健康長寿など)は大きく、電解還元水の予防医療分野への応用研究の成果が期待される。

医療・健康に関連する「水」の研究開発

日本トリムは電解還元水などの「水」に関する一連の研究開発を多数手掛けてきた。それに伴い、その研究成果を国際学会に投稿・発表し、研究開発の情報発信を継続してきた。ここでは、今回の特集にもっとも関連の深い研究報告の例を以下に紹介する。

「電解還元水による末期腎臓疾患患者(ESRD患者)に対する血液透析誘発性酸化ストレスの緩解」
国際学会の機関誌「Kidney International」 (64巻, 704-714頁, 2003年)における掲載

電気分解によって得られた電解還元水(ERW)は、活性酸素種(ROS)を消去し、DNAの酸化損傷を防御する。ERWの防御メカニズムは、高い還元能力を有する原子状の活性水素に起因する。この活性水素がROSの消去能を有しており、細胞の酸化還元の制御に関与しているものと考えられる。

血液透析は、実施中に血液内にROSを発生させ、患者に大きな負荷を課すことになる。そこで、血液透析によってもたらされる酸化ストレスの増大を減少させるため、血液透析実施においてHD-24D(日本トリム社製)によって得られるERWを透析液とする新しい方式を組み込んだ。

1カ月間の血液透析のワンクールに、このインビボ(*3)試験を実施し、透析による酸化ストレスに対するERWの影響を評価した。

*3インビボ(in vivo)
(1)生体の反応や機能が生体内で行われることを示す用語。(2)in vitro(試験管内などの人工的に構成された条件下、すなわち、各種の実験条件が人為的にコントロールされた環境であることを意味する)と区別される。(3)具体的には体内での反応などがこれにあたる。

ERW血液透析を施すことにより、ROSが消去され、さらに、こうしたERW処置後のESRD患者において、酸化された脂質やタンパクおよび炎症マーカーの血漿中濃度が、処置前と比較すると低下することが本研究で明らかになった。透析液溶媒にERWを用いることは、長期的に透析を実施しているESRD患者において、循環器系の有害事象の引き金となる酸化ストレスを防ぐという観点から、臨床上有用であると考えられる。

日本トリムの電解還元水を用いた血液透析システム
日本トリムの電解還元水を用いた血液透析システム

Category: トピックス
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