遠隔医療イノベーション 在宅医療の支援、海外駐在員の健康管理も可能に
2008-09-24 15:59
ViewSend株式会社
http://viewsend.jp/
遠隔医療ビジネスと社会貢献
高齢化社会の到来、専門医不足、医療費削減、地域間格差……。
日本の医療環境がさまざまな問題を抱えている中、遠隔医療が果たす役割に大きな期待が寄せられている。遠隔医療は院内LANだけでなく、病院と病院、病院と診療所、医師と医療従事者などの間をインターネットで結んで患者のデータ情報を共有し、病理診断や治療相談を可能にする。つまり、専門医が不足している地域でも遠隔医療により高い医療水準が確保され、地域医療サービスへの貢献が高まっているのだ。
開発は米国国防総省から始まった
次世代の遠隔医療支援機能PACS(医用画像保管・転送システム)の開発に取り組んでいるのが、米国が開発した遠隔医療支援システムを受け継いだ ViewSend社である。2004年設立という新しい会社だが、東京医療センターをはじめとした国立病院機構グループ、北里大学など約 180の施設に導入という実績を誇る。
そもそもは米国・国防総省が軍用に開発したViewSend技術を、1991年からGeorgetown Medical Centerが産学連携で共同開発した遠隔医療システム。1996年に遠隔医療分野でFDA(アメリカ食品医薬品局)の第 1号認定を受け、その後日本でも代理店により販売が開始された。2004年に日本からの販売撤退を受け、嗣江建栄氏がViewSend技術の著作権及び販売権を取得し、社名もViewSend社と名付けて社長に就任。以来、日本の医療現場のニーズに適合したシステムに改良し、機能を強化してきた。 ViewSendは2005年に日本での医療機器の認可を受けている。
シンプルさ・高画質・高速度、しかもリーズナブル
「ViewSend の強みはパソコン 1台で、CTやMRIなど大容量のデータ画像を原画質でファイリングでき、かつ高速で表示できること。しかもコストを抑えて200万円以下にしました。画面上に操作ボタンがなく、シンプルで使いやすい。USBカメラなど汎用機器を付けるとテレビ会議ができるので、双方向でDICOM原画像をはじめ、患者情報を見ながら診断や治療方法が検討できます」と嗣江社長は話す。
ViewSendの成功の要因としては、ひとつは遠隔医療の発展がある。インターネットの高速化・大容量化が急速に進み、また通信コストが安価になるなど、ネット環境が整ってきたことだ。また、2005年に法改正により遠隔医療が認められ、ViewSendが医療機器として薬事法で承認されたことも、事業拡大の推進力となった。
ViewSend PACSシステム(Picture Archiving and Communication System:医用画像情報管理システム)のコンセプトは以下のようになっている。
- 画面上に操作ボタンがなく、シンプルで使いやすい。
- DICOM(医用デジタル画像と通信に関する世界標準規格)そのものの劣化しない画質で、ハイクオリティな画像参照を実現。
- 現在主流となっているJPEGデータへの画像を加工するWeb DICOMとは異なり、診療に耐えうるDICOM原画像を保存し、劣化しない画像の高速参照が可能。
- 快適高速表示なので、遅延にイライラすることなく、診療効率がアップ。
- 専用ビューワによるシンクライアント(Thin client)環境で、地域連携を実現。
- また遠隔医療支援機能である「コラボレーション」「テレビ会議機能」により、高度な地域連携を実現、医療レベルの均てん化に寄与。

技術開発に経済産業省、東京都の支援も
同システムを採用している茨城県・結城病院からは、「世界標準規格のDICOM形式の原画像をストレスなく取り込めること、汎用性のあるハードウエア、導入時からの病院の要望に速やかに対応してもらえた」と高評価を得ている。
ViewSend 社は、2006年10月に経済産業省関東経済産業局より「次世代PACSの開発及び事業化 ―遠隔医療支援機能付PACSの事業化―」が「新連携」の事業認定を受けた。
また同年12月には、東京都重点戦略プロジェクト支援事業にViewSend社の「デジタル画像情報に基づいた遠隔画像診断支援システムの開発及び事業化」が第1号に選定された。この支援事業は、新産業の創出や産業規模の大幅拡大を目標に、高い技術力で波及効果の大きい新製品・新技術の開発に取り組む中小企業を支援するもので、開発経費の助成などが重点的に行われる。
さらに2008年1月、国立がんセンターとViewSend社による「デジタル画像情報に基づいた遠隔画像読影システム開発に関する研究」もスタートした。
さらなる技術開発で医療サービスを革新
ViewSend PACSシステムの導入により、
- 遠隔読影による画像診断医不足の解消、高額医療機器の稼動率向上
- 臨床研修医の支援、病理専門医の育成
- 診診連携・医療支援テレビ会議(テレビカンファレンス)
- 離島の医療支援など
が可能となっている。

さらに高齢化社会の到来で、在宅医療も不可能ではない。「病院・診療所・クリニック・家庭を結んだ『バーチャルホスピタル』の時代です。遠隔医療システムはさらなる開発が必要になってきます。ViewSendでは現在、日本、アメリカを中心拠点にしていますが中国にも進出しています。日本と海外を結ぶ遠隔医療も可能で、たとえば企業の海外駐在員の健康管理などにも活用できます。遠隔医療ビジネスは世界を視野に大きく広がっているのです」と嗣江社長は夢を語った。
インフラ整備とIT技術革新により、医療サービスの世界を大きく変える遠隔医療分野。さまざまな医療問題を抱える日本にとって、遠隔医療が日常的になるのは、そんなに遠い将来のことではないだろう。

掲載記事
DICOM, ViewSend, 国立がんセンター, 経済産業省, 遠隔医療
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