イノベーション・ジャパン2008 開催
2008-09-17 18:09
国内最大規模の産学マッチングイベント開催
国内最大規模の産学マッチングイベント「イノベーション・ジャパン2008‐大学見本市」(独立行政法人科技術振興機構(JST)、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の共催)が9月16日から18日までの3日間、東京都・有楽町の東京国際フォーラムで開かれた。


イノベーション・ジャパン2008 – 大学見本市
同イベントは、大学が最先端技術シーズを出展する展示会、大学の研究者が実用化を目指す技術シーズをプレゼンテーションする新技術説明会、各種フォーラムなどで構成。5年目を迎えた今回は、展示会の出展者329件、新技術説明会が215件、来場者数が前年比19%増の4万5,345人で、いずれも過去最高の参加数に上り、イノベーションの関心の高さを示す結果となった。5年目の記念イベントとして開催された5周年特別シンポジウムでは、安倍晋三元総理が「国家としてのイノベーション戦略‐イノベーション25策定と未来への課題‐」と題して基調講演を行い、多くの聴講者を集めた。
とくに、今回は大学と企業の商談の場となるマッチングコーナーの設置や、ビジネスマッチングフェアの開催など、産学の出会いを強力にサポートしたのが特徴。各会場では大学の研究成果やビジネスの可能性について意見交換する姿が随所にみられ、イノベーション創出に向け活気溢れる場となった。同イベントをきっかけに産学の融合による新製品や新産業が生まれ、日本経済の活性化につながることが期待される。

イノベーション・ジャパン2008 – シンポジウム 基調講演
安倍元内閣総理大臣が語られた“日本のイノベーションの実現に向けた国家理念”とは?

安倍晋三
元内閣総理大臣
イノベーション25の策定
「イノベーション」――この言葉は、政治家としての私の国家戦略、政策の基本的な思想に関わる重要な概念です。私は、内閣総理大臣の時に、「イノベーション」を国家成長戦略の柱と位置づけ、長期の戦略指針となる「イノベーション25」を策定しました。2025年という明確な時期と目標を設定し、今後の日本の具体的な姿について技術的な視野から議論する、という取組は、日本政府初めてであっただろうと思います。
いま「構造改革」が盛んに言われています。21世紀の国家間競争に日本が勝ち抜くために、また、21世紀の世界に日本がより大きな貢献ができるようにするには、どうしたらよいのか。これこそが、真の意味での「構造改革」です。そのためには、日本人はもっともっと、イノベーティブな国民にならなければなりません。
歴史を振り返ってみても、ライト兄弟の初の有人飛行、現在のパソコン社会、さらにはネット社会へと深化に見られるように、人類に飛躍的な成長をもたらしたのは、イノベーションに他なりません。
「イノベーション25」でも、「電子マネーによるキャッシュレスの世界」「走れば走るほど空気をするきれいにする車社会」など20の例を示し、イノベーションで切り拓く2025年の姿、無限の可能性が広がる社会像を描いています。
イノベーションの歴史に共通しているのは、その出発点として、「一見不可能と思える高い目標」「困難に立ち向かおうとするチャレンジ精神旺盛な人たち」、そして、「そうした高い志を持った人たちを後押ししようとする国家的風土」が存在していたことではないでしょうか。
とすれば、常識にとらわれることなく、高い目標を掲げて果敢に挑戦すること、チャレンジ精神の芽を摘み取らないこと、そうした環境、風土を創ることが、国の大きな使命なのではないかと、私は確信しています。
イノベーションによって人類全体の問題を解決

21世紀における人類の最大の課題は、地球温暖化や環境・エネルギー問題、など、「地球の持続可能性を脅かす課題」の解決です。
私は昨年、「クールアース50構想」を提唱し、「世界全体の排出量を現状に比べて2050年までに半減する」という全世界共通の長期目標を提案いたしました。これは、既存の技術の延長線上では達成困難です。この課題解決にこそ、多くのイノベーションを必要としています。
人類は今、「化石燃料文明」からの訣別を強く意識しなければならない時代に入ってきた、というのは言い過ぎでしょうか。脱炭素こそが経済付加価値の源泉となる時代であり、省エネ技術や低炭素技術を持つ企業や国が力を持つ、「炭素本位制」とも言うべき時代が到来しているのであります。
日本は、太陽光発電、水素をエネルギー源とする燃料電池、電灯に変わる消費電力の低い有機ELなど、世界の省エネ・新エネ技術をリードしています。「低炭素革命」こそが、優れた省エネ・新エネ技術を有する日本が「パックス・ジャポニカ」ともいうべき二十一世紀の新たな時代を切り拓くものと確信しています。日本がエネルギーの輸出国となることも夢ではありません。
イノベーションの実現に向けて-人材育成と大学改革

我が国が世界に先駆けてイノベーションを成し遂げるためには、斬新な発想に基づくプロジェクトを作り出すことと、それを担う次世代の若い研究者の育成が欠かせません。その中核的役割を担っているのが、「大学」です。大学には、法人化に伴うメリットを最大限に活用して、更に一層の国際競争力の向上を期待しています。今、世界の大学は、グローバルな大学・産学連携など、ダイナミックに変革を遂げています。日本の大学も世界に対し「オープン」になることが欠かせません。
多くの外国人が日本の大学で学び、切磋琢磨することで、新たな活力を創造する場となり、活力ある多様な人材を多く生み出す場となる。私は日本の大学に、そうした姿を期待しています。ノーベル賞受賞者たち、社会を大きく変革させた人たちが育ってきた背景を見てみると、その時代における「異端」、「出る杭」が出やすく、伸びやすい社会的条件や環境があったことを知ることができます。「異能・異端」を抑えつけることなく、いろいろな「能力」がぶつかる機会が多い環境を作り上げることこそ必要であります。
「イノベーションジャパン2008」では、大学から生まれた革新的な知識や、ユニークなアイデアが大集合しています。まさに、日本中の「出る杭」が集まる場となったのではないでしょうか。政治家や政府は、気候変動など、世界的課題が顕在化する中、日本はどのような国になろうとするのか、また世界に対して日本はどのような貢献が出来るのかを、自らビジョンを描き、示していくことが必要です。そして、大学や企業におかれては、イノベーションが絶え間なく創出される環境を自ら整え、その成果を大いに世界に発信していただきたいと願っています。ご静聴ありがとうございました。
本稿はイノベーションジャパン2008の安倍元総理の基調講演を元に、編集部の責任において要約したものです。
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NEDO, イノベーション25, クールアース50, 安倍晋三
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